痛む目頭を押さえ
溢れそうな感情を抑えている

救いは目に入らない
意識が捕らえたがるのは


  真面目に選ぶ事も無い悲しみや焦り


何故?
どうして、
繰り返され ....
星屑のドレスを身に纏い

音譜の風に黒髪をなびかせる

彼女の足元で

青いガラスの靴の音が

きしきし、

夜の世界に響き渡っていた



ビロー ....
花が美しく咲く事に
理由なんて必要無い
  美しいものを見て美しいと
  心が感じただけなのだから


月が綺麗な事に対して
余計な言葉は要らない
  綺麗なものを綺麗 ....
気配も無いままに
駆け抜けていく時

どれだけ走ろうとも
一生追い付けない空



   どこまで行くのでしょう

   誰の元へ向かうのですか

   わたし ....
初冬の空に向かい

紙飛行機を飛ばした

天を目指し

太陽に届きそうな

まさにその瞬間のこと

紙の機体は宙に溶けて消えた

直後 空気はぴりぴりと

痛い ....
街路樹は衣を脱ぎ去り
湿り気のある白い羽衣を
その身に纏っていた


落ち葉の変わりに
視界を奪うのは
真綿のような結晶の群れ


通り過ぎる車達は
ワイパーで懸 ....
春が足元に
一夜限りの花びらの星座を描いた



夏の夜の夢は
浅く長い ひとつの戯曲のようだった



秋に降る火球の
行き着く先は誰も知らないまま


 ....
色の無い花が咲きました

香りも無ければ
命を繋ぐ力も持たない
少しだけ
孤独に見える花です


  花はただ
  『生きられたらそれで十分だ』と
  私につぶやきます ....
踏み付けられた
つぶされた
わたしはそれでも
生きている


揉みくちゃになり
みっともない
姿になっても
生きている


茎が折れて
羽根のような葉もちぎれ ....
厳しい寒さに身を縮めるようにして
霜月 雪の降る街の道路に
ころがっていた 逆さまの傘紅葉


少し前まで
鮮やかに開かれていたその手の平を
突然の寒さに襲われた今は ....
雨上がりに
名前も知らない花が
芯まで濡れながら
凛と咲いていた


雨の匂いは
濡れた土や
草花の匂いを
際立たせている



木々は細かい秋雨を
その全 ....
境界線は今日も

曖昧さを保つようにして

空は青と白の始まりと終わりを

見失ったまま浮かんでいる



朝と昼を跨いだはずなのに

わたしはその境目を

 ....
赤い太陽との抱擁を済ませ
黒い月のスポットライトの下に潜り
透明な音譜に髪を靡かせながら


白い台本の世界の 夜の扉をひらく


ヘッドライトが生み出す一瞬の星座 ....
 



冷たい指先から
ありもしない温もりが
すべて消えていくようだった




愛用していた
小さなティーカップは

一秒もしない内に
床への着地を成功させる事も ....
まとまらない
まとめたくない

心 自由に泳がせて

瞼の裏の水辺に浮かぶ
貝殻は過去のぬけがら


まとめる気がない
今日という一日を
どんな糸もすり抜けていく ....
食べ頃を通りすぎた
一房の葡萄の実は
ぽろぽろとその房から
こぼれ落ちていく


一粒ちぎれていく度に
甘い香りがそばに漂って
服に染みついた気さえする


真昼の内から ....
その森は 迷う為の場所で 






正しさや真っ当さ

綺麗な水 清潔なもの

そんな美しさを含むものが

自分の中で過剰に飽和した時に

一旦総 ....
あの時欠けた皿の中に
零れる程に盛られた言葉の山


ひとつひとつが愛おしい
そのすべては
あなたであり 君である


失われた言葉の行方
見失った誰かの胸の内も
 ....
あなたの一秒をわたしにください

一生大切にしますから



あなたの一分をわたしにください

わたしはその幸せの輪郭を焼き付けましょう



あなたの一時間をわたしに ....
狭い夜にいつまでも耳鳴りに似た静寂が居座って

私は緩やかな速度で平衡感覚を失っていく


何も無い訳ではないのに何も掴めないこの手には

言葉にもしたくない汚れだけがこびりついてい ....
一枚の皿のふちが
欠けるのに似ていた


どこか満たされずに
水がもれていくような


目を閉じても
あふれるものをとめられない




  欠けている事を
   ....
夜が悲鳴を上げた

 


それは耳鳴りと重なり

外にも部屋にも

からだの中にも

響き渡る事をけしてやめなかった


あなたは何を叫んでいたのだろうか ....
古びたバス停で 
僕を乗せてくれる
優しさを持つバスが来るのを
かれこれ数日は待っている


そろそろ
待ち疲れてしまいそう
もうすぐ
自分の中の最後の糸も
切れてしまいそ ....
壁一枚向こう側の

瞬きの広がる藍色の世界は

どこかでその姿を現し

誰かの心に語りかけているだろう


この壁は天高く分厚い

砕こうにもこの両手は届かない

 ....
魅力的で可憐な花にはなれない

この身に光や雨粒をのせて輝き

風に美しく靡く事も

地を這うように咲くわたしには難しい

けれども どうか

わたしがここにいるという事

 ....
今夜の秒針の音は
よろこびのうたの様に
暗闇に波紋をつくり
この夜に響いている


昨日眠りに就く瞬間には
je te veuxに似た
優しいリズムを
針の音が刻んだ
 ....
近所の高校の校庭を
囲む様に佇む木々達は

僕達、紅葉なんてしませんよ!

そう主張しながら
形の無い冬を目の前にして
己の緑の濃さを増しながら
その精神を保っている様だった


 ....
時々苛立ちが頂点を極めると
そこらへんのタクシーをとめて
『この世の果てまで頼むよ』
なんて 言ってみたくなるんだ

もちろんやらない


訳もなく感情がたかぶれば
もみじが ....
疲れだけが
この体に降り積もった
誰の言葉も
静寂に消えてゆく 

街灯が
一輪の花の様に見えた
液晶の光が
私の姿をあらわにしていく


隠れられない
隠せない
画面の明か ....
少しだけ遠退いた
あまりにも幸せすぎた日々と
ゼロ距離すら保つ事無く
自分の聖域を荒らしていく 日常


昨日は何も無い良い一日で
今日はあれこれあったけど良い日だった


 ....
葉月 祐(74)
タイトル カテゴリ Point 日付
不器用な縫合自由詩12*17/1/4 17:04
She (is) in the sea,自由詩5*16/12/19 11:54
その理由、自由詩5*16/12/11 21:26
たずねびと自由詩6*16/12/4 22:27
冬に溶けた紙飛行機自由詩6*16/11/27 23:06
朝の交差点自由詩6*16/11/25 9:27
『よるのうた』自由詩5*16/11/18 16:43
『透明な花の一生』自由詩7*16/11/16 17:32
生きていくこと、自由詩12*16/11/11 22:17
傘紅葉(かさもみじ)自由詩8*16/11/10 21:20
『咲いていた』自由詩4*16/11/8 18:48
マーブルは静かにとけていく自由詩6*16/11/6 16:08
舞台の中で生きるように自由詩2*16/11/5 17:46
砕け散った自由詩4*16/11/4 21:33
ほどいてしまおう自由詩9*16/11/3 19:04
葡萄自由詩4*16/11/1 11:20
解放の森自由詩11*16/10/31 23:00
満ちていく自由詩3*16/10/31 0:48
もしも叶うなら自由詩4*16/10/30 22:22
『お菓子をくれなきゃ』自由詩4*16/10/30 17:09
欠けている自由詩4*16/10/30 0:29
夜の声自由詩3*16/10/29 21:25
バス待ちの青年自由詩4*16/10/29 16:58
曇り空の向こう側、星は瞬きをやめず自由詩3*16/10/28 23:23
咲き誇れ自由詩1*16/10/28 11:51
秒針の旋律自由詩3*16/10/28 1:46
校庭のふたり自由詩3*16/10/27 10:56
自暴自棄の一歩手前で自由詩2*16/10/26 17:49
導きの雨音自由詩4*16/10/26 0:06
『どんな日が来ても』自由詩3*16/10/25 17:12

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