She (is) in the sea,
葉月 祐







星屑のドレスを身に纏い

音譜の風に黒髪をなびかせる

彼女の足元で

青いガラスの靴の音が

きしきし、

夜の世界に響き渡っていた



ビロードに包まれた夜を照らす

月光が揺らめく波の果て

渡れない光の橋が手招きをしている


彼女は靴を脱ぎ捨て

裸足になり

ドレスまでも置き去りにして

その橋まで 駆けていった



砂浜に残された青いガラスの靴は

波にのまれ 煌めく砂となり

そこには

月光の微笑みと

沈黙する夜だけが 残される


彼女の器は

音を立てる事も無く

海へと還り

あのドレスは そのまま夜空になった




波の無い海が 静寂を抱きながら

角の無い月を 見つめている



目の前に広がる海は

彼女そのものだという事を

僕以外 誰も知らない




 



そこに還りたい           いつか、















自由詩 She (is) in the sea, Copyright 葉月 祐 2016-12-19 11:54:59
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