「家が裕福で顔立ちも優れた青年が《街》におり、」とその物語は語り出される。
思い掛けない一角から起こる破裂音が年々音量と頻度を増しているこの街の中で、世代を越えて変わらない物はこの上演会だけだった ....
{引用=くたびれはてたやつらが
ざくざくとわきだしてきて
としとったたいようとあくしゅをする
わたくしは
くるい
すべてをだめにしたあとで
えりをただして
あしたにあいさつへいこう}
....
20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。
それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
{引用=「言葉にならないなら、無理しなくてもいいよ。だって海にならないからって、水は流れるのをやめる?」}
サクラソウという名前の花を買った。帰り道に食材を買いに寄ったホームセンターの見切り ....
今年の梅雨明けは遅いですね、と話しかけられた気がして目を開けた。誰も私を見ていないし、ましてや狭いバスの中で他人に話しかけるなど、いまどきともするとちょっとした迷惑ととらがえがちな行動を取る人は少ない ....
{引用=松本へ行く道すがら、ルート19号のダム湖を取り巻く緩やかなカーブに沿って、ぼくは軽自動車を走らせていた。流しっぱなしのYouTubeからは尾崎豊の『15の夜』が流れ出す。なんてこった。またなん ....
セブンイレブンに置いてある森の戦士ボノロン6月号読まれた方おりますか。私は隔月刊のこのシリーズが好きで必ず読んでいます。今回は、千年カヤの願いの巻でした。続いている豪雨のせいで、岐阜の御神木が倒れまし ....
‥今日は久しぶりにオーディナリー*な気分よ。 それにしては一丁まえにオメカシして‥彼女は軽く微笑みながら真向かいに腰を掛けた。1メートルと少しくらいかな。ズレかけたマスクを鼻先まで戻して僕が言うと ....
掌編
夜、蚊取り線香の匂いがする路地を歩き、近所のスーパーマーケットまで焼酎を買いに出かけた。
店内の豆腐売り場で、五年前死んだ友人のコバヤシが身を屈め、神妙な横 ....
世の中には色々な見識があり、立場の違いによっても見えてくる現実は違ってくるものだ。Kちゃんのことについても、かなりきつくこき下ろしはしたので、彼女に対して同情的な見かたをする人も、中にはいる ....
人格破綻者達との出会いで、随分、精神を傷つけられた。
看護師から嫌がらせを受けた時も、Kちゃんと顔を合わせる度に、屈辱的な気分を味あわされた時も、なんで自分がこんな目に合わなくてはならないのか、 ....
このベランダにはほとんど雨が吹き込んでこない。建物が林立しているために風が入り込んでこないのだ。降っていても裸足で出る、湿ったタイルの心地、むすめが背中にぴたりと張り付いてくる。
咲いた蘭、いく ....
久々に二時半に尿意で目覚めた。最近、あまり良質の眠りがとれていないのにと心でぼやきながらトイレに立った。寝床に入りもう少し眠りをと願ったが、最近また体重が増えた妻のいびきがうるさく、結局寝れずにその ....
短編
♰
「何喰おうかなあ、先輩は何にしますか」
「俺か、俺は、チャーハンだ・・念のために云うが、『俺の名はチャーハン』と云ってるんじゃないぞ」
「・・わかってま ....
Kちゃんは、僕が出会った人格破綻者の中では最強のキャラだ。その勘違いぶりは見事というか強靭で、完全に自分では美人で気立てが良い完璧な人格だと思い込んで自己完結していた。
見てくれは、色が黒くて、 ....
久しぶりに「大草原の小さな家」シーズン6、第23話、第24話の「愛している、愛してない(前、後編)」をアマゾンプライムビデオで観た。
母親の過剰なこじらせ愛のせいで、人格が破綻してるネリーがパー ....
みずからを救う詩しか求めていない。けれどもそんなもの無いのは知っている。それでも求め続けないと息ができない。だから詩を書くことをしている。詩を書くことは、今の自分にとっては喘ぎ喘ぎする息継ぎみたいな ....
掌編
両親たちがまた罵り合っている
このふたりはもう向き合う事がないのに
まだ一緒にいる
おそらくどちらか先に死ぬまで罵り合うのだろう
肉親が優しかった ....
コメント欄でやる話じゃないので、一輪車氏の「批評」に対する返事をこちらで書くことにします。
>ほかのことならともかく、倫理的な内容なのでひとこと。
>あまりにもひどい、これはなにかのギャグです ....
ロック魂「別に意識してないけど普段着だよ」
シチュエーションが全く思い出せないのだが、服の話で、
高校の時の音楽繋がりの仲間で、ロックに染まっていったSが、
(いつもジャラジャラした服を着て ....
雑文
傘と云うものに偏愛がある。
わたしも大昔、滑り台の上から傘を広げ飛び降りた子供だった。
ロートレアモン、北園克衛、アレハンドロ・ホドロフスキー、彼らの ....
五行山(ごんごいさん)、という言葉を聞いたことはありますか?
また新たに回り始めた方には耳触りない不思議な文言に思えるでしょうし、もはや独りでに爪が減るような方にとっては回るものすら今やいな ....
締め切ったカーテンの端が発光する朝。
カーテンを開けてみると、思ったより暗い、曇り空。
昨日の夜、一ノ世君から託された番号を見ていて気づく。
1、3、5、6、8、0この数字を並び変えたのが、 ....
大白川登山口に着くと雨となり、当然誰も居なかった。レンタル簡易トイレがのっそり立ち、周りには雑草やらススキが生い茂っている。雨は次第に本降りとなり、雨具を着る。
今日を逃がすと次回はいつ行けるかわ ....
ここの部屋の、窓からはマンションがたくさんみえる。いくつもの長方形が、かさなる長方形が、夜になれば灯る長方形が。空はすこしみえる。直線で区切られたいびつな図形として。
ニュース、書いては消し、裏 ....
チョコの包み紙をはぎ、そのバーコードを入力する。
慎重に、間違わないように。
頭から。
鼓動が、強くなる。
それに合わせて、ゆっくり息をする。
落ち着いて、落ち着いて。
特別なパスコー ....
どうやら私は死んでしまったようだ。
私は葬儀場の天井に実体の無い魂としてぼんやりと浮かんでいた。なぜ死んでしまったのか、よく思い出せない。体調不良になったような気もするし、何かの事故にあった ....
コンビニだけど、もうコンビニじゃない場所に、雨音がしみ込んてくる。
【密】の人はどこか楽しそうな、そんな雰囲気がある。
「失礼ですが、いくつか質問をしてよろしいでしょうか?」
【密】の人の言 ....
昨日は、みんなで話し合って、ちょっと仲よくなれた気がする。
そう思う、朝、連座君から声がかかる。
連座君の部屋に行くと、菜良雲君が先に来ていて、山藍さんが後から来る。
みんな、表情がどこかや ....
「なぜ人は誰かを傷つけるの?」
と、娘が問いかけてきた。それは、私が常日頃胸に抱き続けている疑問でもあった。
「それは、自分が傷つくことを恐れているからだよ」と、私は答えた。
春の ....
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