詩のすてきなところは たとえば
七尾きよし

詩のすてきなところは
たとえば

私が詩を朗読する
そこには私が
経験もしくは空想に基づいて
意図して書いた何かが含まれる。
つまり私にとっての意味

朗読を聴いたあなた
の中に意味が生まれる。
それは、私にとっての意味とは
また違うもの
あなたというエネルギーのフィルターを
通り抜けた私のことばは
新しいものに生まれ変わる

十人いれば十通りの意味が生まれる
それは別に意図したものではなく
聞くことによって
自然に湧きあがってくるもの。
意味は意識して生まれるわけではなくて
決してすべて意識されることの無い
あなたという存在全体の響きが
私という響きに出会って生まれる
それが意味

そのままでいいんだよ
という言葉がちまたにあふれてる
そのままでいるのには努力はいらない
感じてることを
ことばにしてごらんよ
その響きの中に
そのままのあなたがいる
あなたという響き

私という響きと
あなたという響きが出会い
新しい音楽が生まれる

意味は誰かに与えられるものではなく
自分でつくりだすものでもなく
出会うところに
響きあうところに生まれるもの

人生は一人ひとりにとって
自分が主役の物語
ひとたび生まれた響きは
きっと共鳴反共鳴し
また共鳴し また共鳴し
人から人へ
人生の輪 宇宙の輪 響きはつながっていく
響きは宇宙の誕生とともに生まれた
ぼくらはビッグバンの子どもたち



自由詩 詩のすてきなところは たとえば Copyright 七尾きよし 2006-01-20 10:38:21
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