はいまわり
七尾きよし

何かをめざして
のそりのそりと
地面をはいつくばり
首を寝違えでもしたのか
大空を見上げるそぶりを
見せることもなく
のしりのしりと
あるときはあぶら汗をにじませながら
あるときはうれしいのかかなしいのかわからない不気味な表情を見せながら
またあるときは宝物をなくしてしまった少女のようにさみしそうにしながら
のそりのそりと
地面をはっていく
あまりにも地面近くをはうものだから
行き先があるのだとしても
ほんの五寸ほど先しか
見通しがきかないものだから
どこに向かってるかわかったものじゃない
それでも
のしりのしりと
歩み続けるのだ
灰色のそらであろうとも
すかっと晴れたそらであろうとも気にとめず
息がきれてしまうまで
のそりのそりとはいつづける
なにか感情のようなものはあるらしく
ときおりなにか考えごとをしているようでもあり
のそりのそりと前進しながら
それは生きている


自由詩 はいまわり Copyright 七尾きよし 2006-01-10 18:27:47
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