終わりなき日常
七尾きよし

「終わりなき日常」という言葉。ぼくが東京で学生をしていた
10年ほど前によく聞いた言葉。
ゆうべ見た映画の中で貧しさの中で生きるママさんが
生きてるってことが夢みたいなの
なにが現実かもうわからない
って言ってた。
その中に沈没して
私という存在が消えてしまうような
現実。
昨日と今日と明日にいったいなんの
ちがいがあるのか
だなんて考えはじめるとたん
今日の今という時間から現実感が
消え始める
何のために
何を願って
生きてる
そんな素朴な疑問など
生まれてこないように毎日の生活の中で
沈没して
いつの日か
顔を失い
名前を失い
ぼくとあなたの違いなど
どうでもよいことになってしまい
生きてるって実感がないことが
生きてる実感になってしまった

夢が覚めるとき
そこにはなにがあるの


自由詩 終わりなき日常 Copyright 七尾きよし 2006-01-10 18:27:00縦
notebook Home 戻る  過去 未来