宣戦布告
石川和広

苦しいのは
薬のんで
痛みがないこと

痛いの怖い?
でも少しの我慢
長い退屈
痛みだけが
自分のもの
記憶している
すりきれていく
忘れていく
流される
暮らしに押し流される

やましいのは
ねじれきったこのから
から
からだ

暖かい布団で
寝るのは大事なことだが
苦しいのは
射してくる光が
あまりにひどい言葉たち

頭に
とりこじかけに浮かんで
浮気模様
無益
ぼくは無視
こはく色した
ぼくは虫
きりきざんでいいよ
お母さんに怒られながらなら

女は愛するもののために
戦っている

戦いは容赦なく
ぼくは無条件降伏

反乱をたくらむ
氾濫するのは反省のなさ

情けない
泥まみれ血まみれの死者たちを
追い越していく
無痛文明

痛いまま死んだ
メランコリー
笑いながら撃たれた
絶望を希望に
進軍した人たち

けられなぐられ
はみださないように
奪いあい暖めあい
冷たい仲間たち

僕らはまだいきている
死んだ子たち
まるで
戦争みたいね

そうして
泥にまみれ血まみれ
死んでいった
悪者たち
だきしめて
だきしめられて
美しく
崩れていく言葉たち

石川さんの詩

わかんなーい
こないだ久しぶりに目覚めた

まどろみながら生きていたが
そこで
ぼくは女に
無益な恋
をしている
ということに気づいた

泥まみれ血まみれ
の悪者と呼ばれる人たちを
抱きしめるものよ

汚れたもの
紙屑みたいにねじられて
切り刻まれたものを
愛している女よ

ぼくは君に…

そしてぼくは座っている
戦うか


自由詩 宣戦布告 Copyright 石川和広 2005-10-13 20:58:44
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