巨大なからだ
石川和広

そこにいてはいけない
広がる闇がせまっている
いのちが傘を畳むように
ひとつの音楽がおわろうとしている

からみあう僕たち
下草の湿った野原で
傾いていく橋
今光が走った
ここには
あふれんばかりの
闇があって
ちりぢりになったいのちが
ひとつの体を取り戻そうとしている

きれいなものにはなれまい
一切の奈落
からだはぼくたちを引き離そうとしている

もう少し強く手を握って
神様はみていまい
さまよう空気の中に
永遠に近い
つながりがない

コンセントが抜けてしまった
時間の穴
空の穴にはもどれまい

巨大なからだが出来上がってくる
バラバラな夢を見る
太陽は歩いてこない
いつまでも
やみのなかで
静かにつながりだけを
求めている

体はふたたびくだけちる
死んだように回帰しながら


自由詩 巨大なからだ Copyright 石川和広 2005-09-23 23:02:44
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