風、ひとのにおい
石川和広

愛してるといいたい
立っている
コンコースの中を
知らない笑顔が通りすぎる
ああ!

空をみたい
きっと夕暮れて
傷ついている
空は
Mr.Childrenの新曲
買っている
その中を
舞い降りる風がひゅー
気がつけば
今日も帰ってきた
窓から風が入ってくる
泣くこともなく
ぐずついて

傷のある空の下には
さびしい砂場
思いでの架空
トンネルを堀続ける
満ち足りた思いは
いつも不足
ぜいたくな底
空を思う

きれいなもので
きたないから
雲の霞の間を
光がさしてくる

今は座って
煙草を吸っている
あのひとに会えるかな
夕暮れひとのにおい
ひとのにおい
少ないな
もう終りなんだろか
はじまりはいつなんだろか
あのひとは
あのひとは
愛してるの手前の空で

帰ってくるかな
帰ってくるかな

そんな独り言のなかを
風が通りすぎる


自由詩 風、ひとのにおい Copyright 石川和広 2005-09-24 17:41:38
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