１３年ぶりの大きな地震があった
あの日の午後
僕は都心にいたから
あわてて君の携帯に電話したよ
でも、何度電話しても繋がらないし
メールを何度送っても返事はこないし
山手線は何時までも止まったままで
もう君には逢えない
もう君の笑顔とは「さようなら」
そう考えてしまったけど
意外にも
道行く人々は冷静で
土曜日の午後を楽しんでいるようにさえ見える

悲劇のはじまりは
こんな風にして幕を開けるのだろうか
どこか冷静で
わが身に何か起こっても
「まだ大丈夫」と思いながら息絶える

そんな事を考えていたら
携帯電話は何時の間にか君と繋がっていて
「まだ大丈夫」な手に背中を押され
やっと動きだした山手線に
僕は乗り込む

いつもの僕に戻るために