オニオンスライス
恋月 ぴの

僕は欲望と言う名の宅配便で
君の食卓に差し出されたタマネギ。
だから、君の良く手入れをした
ぞくぞくするほどに
ネイルアートが良く似合う、
白くて長い指先で
薄皮を剥がされてみたい。

頭の先から皮を剥くと
パリパリ音がするよ
新鮮なタマネギの声は
透明なほどに、透き通り
ひげのような根っこの先が震えているから
君の食卓を飾るオニオンスライスとなって
トマトやレタス達と
まるで君への生け贄だよ。

サラダドレッシングはフレンチが良く似合う。
白いドロドロにまみれれば
僕達はフォークの先で突かれ、
次々と情けない悲鳴をあげながら
歓喜の渦に突き落とされる。


自由詩 オニオンスライス Copyright 恋月 ぴの 2005-07-28 09:52:29
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