土塊に擬す
佐々宝砂

今は崩れし前方後円墳
色褪せ剥がれたる胡粉
古への熱狂と興奮
陰鬱に漂へる悲憤

見出されし死者は怒り
水気無き額に雨滴り
明かされしじゅは空をたわ
暁の海の歎きを高め

しけやし姫と大君何処いづこならむと
埴輪の馬いななきて天地あめつち響動とよも
旗印翻り閃かすいさをし

眼を開くれば閑かなる夕暮
珍らかなる古墳無惨にも崩れ
冥冥たる古へも総て土塊つちくれ



ソネットなのだから韻を踏んでみようとつくった旧作。
ソネットの正しい韻の踏み方を実践しているわけではなく、
踏み方はけっこうでたらめの習作。



自由詩 土塊に擬す Copyright 佐々宝砂 2003-12-16 20:25:57
notebook Home 戻る  過去 未来