都道府県リメリックス 北海道東北編
佐々宝砂

少年は旅ゆく広い北海道
耕耘機に乗り地道に移動
のんびり過ぎて地虫がたかる
地虫も喰えばうまいとわかる
なんと美食家この怪童


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社長さんの実家は青森
故郷の地酒で今日も酒盛り
勤務中だよ社員はムカムカ
それなら俺らもみんなで呑むか
仕事にならずクレーム苦情てんこもり


***


可愛いあのこがいるのは秋田
進めや進め目指すは真北
進み過ぎたよここは北極
嘆いて歌う十八番の一曲
あんまりヘタで白熊が来た


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彼は単身赴任で岩手
財布なくして大あわて
困ったあげくに自宅へ電話
「財布の紐は心配いりませんわ」
奥さんの方が一枚うわて


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虫採り名人住まうは宮城
家にはたくさん卵とサナギ
なんで恋人つかまえない?
蝶にならない女はいらない
あっぱれ頑固な名人気質


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かのドラ猫の故郷は山形
脂肪たっぷりその姿
ミルキー・ウェイを見上げて思う
あれが乳ならみな俺が飲もう
その食欲に星も震えるガッタガタ


***


婀娜な姐さん生まれは福島
色白素肌にゆかたの縞
花火弾ける祭の夜空
誘いかけられでも上の空
お安くないねえこの年増


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リメリックは英語圏の定型詩で、日本で言えば川柳のようなもの。
リメリック作者としてはナンセンス詩人エドワード・リアが著名。
第1行・2行・5行/第3行・4行に脚韻を踏む。
内容・構成にもルールがある。

1行目→主役登場
2行目→行動による主役の性格説明
3行目→述部の展開
4行目→述部の展開
5行目→オチ

どう考えてもアホくさいナンセンスな内容のものが多く、
眉間に皺寄せて読むようなものではない。
私のリメリックは正直お寒いものだと自覚しているが、
このような詩形があるということ、
私も一応挑戦してみたということの証に。

出来不出来の差が激しいのも承知。
私は基本的に連作のヒトなので、途中出来の悪いのが混じっても
それを削除して発表するとおかしいことになってしまうのだった。

念のため言っておけば、各都道府県を扱っていることに他意はない。
ちなみに私が最初に書いた都道府県リメリックは、


***


みかん娘の住まいは静岡
みかんの他になに食べようか?
玉露の缶をわしづかみ
アルミも鉄もみんな噛み噛み
消化できずに入院八日


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ご存じの方はご存じだろうが、私は静岡県民である。



自由詩 都道府県リメリックス 北海道東北編 Copyright 佐々宝砂 2003-12-16 20:09:14
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