小箱のなかで(二)
青色銀河団

記憶の ぬくもりが
朝のラインに 並びます
いくつかは やわらかく はじらい
いくつかは つめたく ゆるされて

/濡れた空に 水の旗が ゆるやかに たなびいています/



それでも紙の野原で
濡れた空がひらかれたとき
雨の日のむかしまで
潮は満ちてゆきました


(それは小箱のなかのうつくしい鏡の海のこと)






紙の野原でひらかれた空が
朝の光に濡れます

音の郵便は
誰もいない朝のランプにとどきます
北風が笑いました



/響きのうつくしい
 紙の野原でひらかれた空の
 故郷のまわりをとぶための白いほのお/


光に濡れた
うつくしい響きのガラスの果物は
紙の野原で
練習帳をひらきます

朝のラインにそって
風をまなぶための
一冊の文法のノート


(それは小箱のなかのうつくしい霧の朝)







むかし雨の日に
海まで歩きました

一冊の文法のノートを携えて

(潮はどこまでもどこまでもあおく満ちていきました)



風が止みました
音の郵便は
誰もいない蛍光ランプまで
もう届きません




美しいひびきは
たしかに
母に似ていたようです




未詩・独白 小箱のなかで(二) Copyright 青色銀河団 2005-06-29 01:07:37
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