化石考察(事実のない個人情報)
クローバー



最近ずっと夕焼けを見てない
柔らかな雨が頭に響いて痛い
稲光を何だか遠くの星の出来事のように聞いていた

知識の詰まった紙の束は
三枚の銀貨と交換された

片手におさまる一個の世界で
少年は少女と出会った
それはたぶん紀元前のことで
今はひどいくらい未来だった

でも、少年は真っ暗な大地の中で
一度だって少女の尻尾を忘れたことはなかった

二匹ぶんの動物の骨が雨にうたれている
大地の形を変えるほど
降り続けた雨の中
考古学者は、挨拶を欠かさない
おはよう、君は誰だい?

少年も少女も
バラバラした白さで
また少し同じものに近づけた。




未詩・独白 化石考察(事実のない個人情報) Copyright クローバー 2005-06-06 22:21:49
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