明るい闇の中で(一)
おぼろん

窓から光が射している。それは、まるで明るい闇のようであった。
フランキス・ユーランディアは、ふいと目を覚ます。
そして、明るい日差しに目を背ける。今は自分に、それはふさわしくないと。
そこへ、幾人かの人物が部屋へと入ってきた。

エインスベル、戦士エイソス、そしてハーフオークのリグナロスである。
フランキスは、傲然と顎をあげた。降伏はしない、という意思表示である。
それを、来訪者たちも分かっていたらしい。沈黙が訪れる。
最初に口を開いたのは、エインスベルだった。

「わたしがどうしてここにいるのか、分からないような様子だな?」
「ふん。大方監守でも買収したのであろう。売国奴めが!」
「看守を買収したというのは、正しい。それは認めよう」

「しかし」──と、エインスベルは言った。「お前に頼みがあるのだ」と。
「頼み? それは何だ? まさか国王を暗殺しろと言うのではないだろうな?」
「それに近いことだ。汝には、この国のあり様を変えてほしい」


自由詩 明るい闇の中で(一) Copyright おぼろん 2022-10-07 21:02:50
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