砂漠の行軍(六)
おぼろん

再びの危機は去った。シーゲンサの群れはことごとく屠られた。
アイソニアの騎士、エイミノア、盗賊ヨラン。その思いは一つでも、
その思惑は、彼らそれぞれで異なっていた。あるいは、アイソニアの騎士は、
エインスベルを救うことよりも、無類の冒険に出ることこそ望んでいたのかもしれない。

シーゲンサの骸の一つを眺めながら、アイソニアの騎士は呟いた。
「こんな魔術が使えるのであれば、最初から使ってほしかったものだな……」
オーマルはそんなアイソニアの騎士を凝視していた。
「わたしは単なる道案内です。戦士でも魔導士でもありません」

「なるほどな。自分たちで出来ることは、自分たちでこなせ、か」
アイソニアの騎士もだんだんに分かり始めていた。この女、オーマル、
そしてハーレスケイドという世界は、そこを訪れた者の精神を試すのだと。

「それで、俺たちは今後どうすれば良いのだ?」アイソニアの騎士が尋ねた。
「時が来れば、いずれお分かりになります。この砂漠ももうじき終わりです」
「そう願いたいな。俺は、他人からもて遊ばれることが何よりも嫌いだ」


自由詩 砂漠の行軍(六) Copyright おぼろん 2022-10-05 19:32:26
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