砂漠の行軍(五)
おぼろん

(予感は的中した)と、ヨランは思う。(もしや、エランドルは、
 このヨースマルテで誰もが魔法を使える世界を目指しているのでは?)
いやいや──そうではないかもしれない。ヨランは逡巡する。
(しかし、今はオーマル様に任せるしかないのでは?)──とも。

「穢れし者どもよ。魔物よ。退散せよ!」
オーマルが天に向かって、その手をかざす。青色の光が、
いっせいにシーゲンサの群へと降り注いだ。
アイソニアの騎士とエイミノアは、今もまだ剣を振るっている。しかし、

青色の光は、徐々にシーゲンサたちを沈黙させていった。
意識を失った相手に対して、二人の戦士は容赦なく剣を突き刺していく。
「なるほど、『導き手』か。よく言ったものだ」アイソニアの騎士は不敵に笑う。

その時、彼が思っていたことを記しておこう。アイソニアの騎士は、
このオーマルという女が自分たちを試している、まるで玩具がんぐで遊ぶように。
そう思っていたのである。(俺は、操り人形には決してならないぞ!)


自由詩 砂漠の行軍(五) Copyright おぼろん 2022-10-05 19:31:52
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