閃光と跳躍と(一)
おぼろん

盗賊ヨランとエイミノアは、地下室からの狭い抜け穴を辿っていく。
二人とも、這いずりながら四つん這いの姿勢である。
「おい、盗賊、これが本当に出口へと通じるのであろうな?」
「もし、この穴が単なる下水管でなければ、どこかには通じているでしょう」

あいかわらず、ヨランは飄々としている。
その度に、エイミノアは舌打ちをしたいような想いに駆られる。
「もし、ここで我らが見つかったら、我らは一網打尽なのだぞ?」
「その心配はございません。今は、まだ誰もが眠っている頃合いです」

「事前準備と調査は万端、というわけだな……」エイミノアは呆れる。
自分がこのような盗賊風情に諫められる、ということを不意に滑稽に思ったのである。
そして、出口が見えてきた。

「エイミノア様。ここが、オスファハン邸の書庫です。
 まずは、ここで虹の魔法石の秘密を探ることにしましょう」
「分かった、お前の言う通りにしよう。先ほどの燐寸という物を出せ」


自由詩 閃光と跳躍と(一) Copyright おぼろん 2022-08-02 07:50:35
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