閃光と跳躍と(二)
おぼろん

ヨランは、その暗視の能力を活かしながら、次々と書物のページをめくっていく。
いい加減に、エイミノアは忍耐心を失いつつあった。
それは、オークという種族の特性であろう。
エイミノアを始めとしたオークたちは、待つということに慣れていないのである。

そして、どうしても優柔不断に見えるヨラン。
ところへ……ヨランが一冊の書物を抱えて帰ってきた。
「どうした? 何が収穫があったのか、盗賊?」と、エイミノア。
「ございますとも。しかし、いささか説明に難を要します」

「なんだと? 早く言ってみろ!」エイミノアは急かす。
「実のところ、わたしたちが捕らわれていた小部屋こそ、
 ハーレスケイドへの門であったと、疑われるのです」

「なんたることだ。それでは無駄足ではないか。お前はやはり愚か者だ!」
「そうおっしゃらずに、次は魔法石の探求へと、段階を進めましょう。
 そうすれば、エインスベル様を助ける手立ても見えてきます」ヨランは、一つ嘆息した。


自由詩 閃光と跳躍と(二) Copyright おぼろん 2022-08-03 12:22:21
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