地下室のヨラン(六)
おぼろん

「もっと詳しく話せ。お前は、その他にここでどんなものを見つけた?」
エイミノアが明らかに焦った表情をして、言う。
盗賊ヨランは、ただ漫然とここに捕らわれていたわけではなかったのだ。
(なんたる不覚、わたしとしたことが……)

「焦っておいでですね、エイミノア様。しかし、
 道は、この紙片が明らかにしてくれるでしょう。
 ここには、この邸宅が建てられた際の図面が描かれております。
 それによると、この邸宅には、何かを隠そうとした意図がうかがえるのです」

「それがハーレスケイドへの門……」エイミノアが息を呑む。
「その通りです。もしかすると、オスファハン殿もご存じないかも知れませんが」
「ヒスフェル聖国というのは、複雑な国なのだな。一体誰が実権を握っているのか?」

「それは、ひとまず置いておきましょう。わたしたちの最大の目的、それは……」
「エインスベル様を助けることだ。そのために、虹の魔法石を手に入れる」
「その通りでございます。さあ、行きましょう、エイミノア殿」


自由詩 地下室のヨラン(六) Copyright おぼろん 2022-08-02 07:49:17
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩