囚われのエインスベル(十四)
おぼろん

「なんだと? お前は虹の魔法石を盗めるというのか?」
リグナロスは気色ばんだ。それに対して、ヨランは即答する。
「可能でしょう。わたしが虹色の魔法石を盗み出しても良いのですが……」
何か訳ありのように、ヨランはリグナロスの顔を見つめた。

「しかし、それでは面白くありません」
「何を言うか。不謹慎なことを言うな。
 事はエインスベル様の命がかかっているのだぞ!」
「それです。この監獄にはエインスベル様だけがいるのではないのです」

「うむ。そうだな。この監獄には政治犯も収容されている。
 奴らすべてを逃がすというのは、正解ではあるまい」
「そうでしょう。エインスベル様には、別の方法で脱出してもらいます」

「混乱するな。虹の結界を破らずに、脱出する方法があるとでも?」
「わたしに考えがあります」ヨランはうつむきながら言った。
「わたしがエインスベル様の魔法石を用意します」


自由詩 囚われのエインスベル(十四) Copyright おぼろん 2022-06-25 17:25:47
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