囚われのエインスベル(十三)
おぼろん

「そして、次々にその位相を変えていく」リグナロスは言葉を継ぐ。
「それが虹の結界だ。どんな魔導士でも、この結界は破れない」
リグナロスはため息をついた。ヨランは意外だ、という表情をする。
「それでは、普通に脱獄すれば良いのではないですか?」

「無駄だな。魔導士の多くは、生まれながらにして魔力を持っている。
 ことにエインスベル様の魔力は強大だ。
 だが、虹の魔法石がそれに感応して、エインスベル様の魔力を封じてしまう。
 魔法が使えなければ、魔導士などただの木偶人形だ」

「それは言いすぎでしょう。しかし、事は厄介ですね。
 エインスベル様は今、魔法石を持っていません。
 使える魔術の種類、そして強さも制限されてしまうでしょう」

「魔法を使ったとしても無駄だと、先ほど言ったであろう?
 エインスベル様が自ら脱獄することは、不可能なのだ」
「それでは、地階にあるという魔法石を取り除いてしまったなら?」


自由詩 囚われのエインスベル(十三) Copyright おぼろん 2022-06-16 13:14:23
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩