囚われのエインスベル(十二)
おぼろん

「時間変化する結界」と聞いただけでは、ヨランには何のことか
分からなかった。ヨランは再び、リグナロスに問いかける。
「つまりは、何が問題だと言うのでしょう?」
「お前はこの監獄に入ってきた時、何も感じなかったであろう?」

「そうですね。格別難しい結界が張られているとは、感じませんでした」
「それなのだ。この結界は魔導士にのみ反応する。
 この監獄の地下には、ヒスフェル聖国で採取された、
 虹色の魔法石が置かれているのだ。それが結界を生じさせている」

「魔導士のみに反応する結界ですか……」
「そうだ。我々の間では位相結界と呼ばれているものだ。
 魔導士が魔術を発すると、それを察知して魔力を吸い取ってしまう」
 
「そんな結界があるのですか……」
「そうだ。この結界は本来、ヒスフェル聖国でしか使われていなかったものだ。
 エインスベル様でも知るまい」


自由詩 囚われのエインスベル(十二) Copyright おぼろん 2022-06-16 13:13:49
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