囚われのエインスベル(五)
おぼろん

盗賊ヨランは、エインスベルの救出に、
妖精ファロンの力を借りることにした。
ちょうど祭祀クーラスとは逆の手を使おうと考えたのである。
これで、監獄の衛兵たちの心を意のままに操る。

盗賊ヨランは、情報を獲得する術には長けていた。
すでに、戦士エイソスがアイソニアの騎士やエインスベルに、
疑義を抱いていることにも、気がついていた。
だから、戦士エイソスの助力は得られまい。助言も。

「エインスベル様を助けるためには、数か月の時間がかかるだろう」
盗賊ヨランは予感していた。その間、エイミノアはきっと焦ることだろう。
しかし、盗賊ヨランにも考えがあった。

祭祀クーラスに対して、偽の情報を流すのである。
いわく、エインスベルが自死を考えていると……。
二年余りの時間を牢獄で過ごせば、誰でも心が折れるものなのである。


自由詩 囚われのエインスベル(五) Copyright おぼろん 2022-05-29 17:03:21
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