囚われのエインスベル(六)
おぼろん

しかし、エインスベルは、祭祀クーラスが考えるほど、
弱くはなかった。叔母ミーガンテに対する復讐を終えて以降、
彼女は達観していたのである、すなわち、
「わたしはクールラントの国とともにある」と。

エインスベルは、まず魔導士オスファハンの庇護を受けた。
そして、懇願して彼の弟子となった。
エインスベルがクールラントの国に落ち着いたのは、
カーガリンデに宿りを得て以降である。

カーガリンデ、そしてクールラントは、彼女にとっては理想の地だった。
(いつかはレ・スペラスとも和解出来れば良い)と、
エインスベルは考えていた。しかし、それは決して博愛主義ではない。

純粋に彼女自身の利益のためだ。いや、利益というのとは少し違うであろう。
エインスベルは、彼女を取り巻く環境に順応しようとしていたのである。
再び言おう、エインスベルはクールラントの国とともにあったのだと。


自由詩 囚われのエインスベル(六) Copyright おぼろん 2022-05-30 17:22:10
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クールラントの詩