新たな時代の胎動(二)
おぼろん

その一方、エインスベルはどうか。戦争から三年近い時間が経ち、
エインスベルはクールラントの監獄に監禁されていた。
この戦いの端緒が、エインスベルにあるのだとして訴追されたのである。
エインスベルの誤ちは、ファシブルに政変を起こしたことにあった。

すべては、祭祀クーラスの密偵ハザック・アザンによって、
事前に知らされていたのである。表向きには、
ファシブルの前国王ミーガンテは、魔導士である、アルスレインによって、
謀殺されたことになっていた。アルスレインはエインスベルの偽名である。

その結果、ファシブルは以前に増す勢いをつけた。
現国王マリアノスは、その意に反して、元老院の意志に従うしかなかったのである。
それが今回の戦。第一次ライランテ戦争である。

祭祀クーラスがエインスベルを訴追するには、それなりの時間がかかった。
エインスベルはアースランテを倒した英雄、という声が広がっていたからである。
しかし、ファシブルを扇動したとなれば、話は別だ。祭祀クーラスはほくそ笑む。


自由詩 新たな時代の胎動(二) Copyright おぼろん 2022-05-17 15:31:31
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クールラントの詩