ファシブルの裏切り(六)
おぼろん

「わたしはマリアノスを見くびっていた」オスファハンは呟く。
彼女は彼女なりに、一国の王なのだ。
国の命運を左右する事態が起こったとすれば、
それに対処する必要がある。今回のヒスフェル聖国の参戦のように。

マリアノスは、実はクールラントの力を恐れていた。
(かの国には、我が娘エインスベルがいる。彼女は強力な兵士だ。
 今回のように、倍の数を誇ったアースランテが壊滅することもある)
「我が娘よ、汝はこれからどう行動していこうというのか……」

一方で、ラゴスの軍団長カイザー・ネルの意志は固かった。
「我が軍は、アースランテの北辺にある地を制圧する。
 それ以外に、ファシブルを牽制する術はなかろう……」
 
ファシブルの拡大、それは後にアルスガルデの再来を意味するだろう。
ラゴス、クールラントはやがてファシブルに併呑されてしまうかもしれない。
「クールラントの諸氏も賛同してくれるな?」カイザーは言った。


自由詩 ファシブルの裏切り(六) Copyright おぼろん 2022-05-15 13:57:44
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