遠い 遠い
木立 悟





子の声 子の声 子らの声
群れの光 ひとりの声
苔むした壁と
向こう側の声


小さな宴に自らを閉じ込め
濃い影 濃い影
高みへ
高みへ昇る水たち


うなずくことなく
傾きながら光を視るとき
痛みは微笑み 痛みは羽ばたき
痛みは飛び去り 痛みは残る


冷たさは未来の迷路
地図の裏側を国旗とし
方角も方向も理由も無く
地の失い地を踏み押し寄せるものたち


岩の海から星は昇る
水の粉 苦い闇
うたの上の子ども 毒の下の子ども
金と緑の子ども


水が陽を呼び
光の鱗を増してゆく
遠くと近く 双つのまばたき
降りつもる声 歩み去る子ら


喉の夜の矢 多角の雨
水底をゆうるりと動く岩
夜の雨の灯 
灰の上の火に押されゆく

























自由詩 遠い 遠い Copyright 木立 悟 2019-08-29 19:35:46
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