夜のかたち
木立 悟





扉を開けては閉めるたび
隙間に見える光の網
様々な色の格子 格子
そこにはばたき 散りかがやくもの


窓の向こうを
廻り すぎる影
重なる脚
のびてゆく 脚


見えない半分の世界から
行き来する鳥 灰色の鳥
曲げられた夜と
枯れた灯のはざま


霧が生まれ
落ちてゆく
報われることのないものの証が
泥のなかでかがやいている


北西から降る六角の光を
龍の群れが見つめている
常に常に氷のかけらが
見えないほど小さく吹きつける夏の地


うたが うたが
けだものの背を越え
打ち寄せるうたが
淡い蜘蛛の姿に森を覆う


夜道を曲がる光と声
傍らを踏み にじみかがやき
水たまりの淵に手をつなぎ
月の出を願い 待ちわびる



















自由詩 夜のかたち Copyright 木立 悟 2019-08-09 08:26:13
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