ひかり ひとふさ
木立 悟






花のかたちをした夜が
水を駆けて駆けてゆく
水を求め うたう声もまた
駆けて駆けて駆け抜けてゆく


手のひらに降る灰
すぐ消える灰
鉄柵の内の空
すぐ消える空


指のはざまを
雨はすぎる
何処かで誰かが
生と死を願う


径ゆく人の額から
光の糸 線 柱が昇り
今にも止もうとする雨のなか
曇につながり揺らめいている


身体を大きく幾度も振り
夜を掃い 夜を掃い
乾いては濡れ 乾いては濡れ
拾い集めた午後を羽織り


肘を高く
冷たさに触れるまで上げ
雨を呼び
発つ羽 着く羽の応えを聴く


夜に降る陽
夜の風の線
昇る光に楽譜となり
奏でるもの無くかがやいている


















自由詩 ひかり ひとふさ Copyright 木立 悟 2019-07-11 08:54:02
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