夜鷹と怪物
ナンモナイデス


夜鷹は昼鷹に
改名しろと
脅される
鷹でもないのに
鷹と名乗るのを
やめろという

いいえ
神が付けたもうた
名前だから
おいそれと換えること
などできないと
夜鷹は嘆く

悲しくて

大口開けて泣いたら
ヴィクトールが
口腔の闇に
突っこんできた

食うな
そいつを食うな

そいつはオレを
創造した
オレの父なのだ

夜鷹は驚いた
それは
身の丈3mはあろうかという
観たこともない
つぎはぎだらけで
惨めな体の人間のような
怪物だった

夜鷹はフと思った
この怪物なら自分を
殺してしまうんだろうと

夜鷹は口腔内で
沈黙している
創造者をゴクッと
呑んだ

ウオッ
何をする惨めな鳥め

怪物は夜鷹の
裂けたような
異様な嘴を
手でしっかりつかみ
怪力で引き裂いた

突然夜鷹の体が
輝き始めた

オオ
怪物よ
人間に造られた
名も泣き惨めな
怪物よ

これで死ねる
自分は死ねる

他の生き物を
食うこともなく

自然に生まれた生き物に
食われることなく死ねる

アリガトウ
夜鷹は高と
嗤った





自由詩 夜鷹と怪物 Copyright ナンモナイデス 2019-04-27 21:43:15
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