カニと流れ星
ブルース瀬戸内

流れる星を見つつ
カニの足の節目に
時代の節目を重ね
フィットしたのに

なにしとんねんと
何もしとらん奴に
むき出しの知性で
言われとんねんと
カニが言うのです

横歩きとの呼称は
縦歩き派の陰謀で
彼らの常識なんて
宇宙の非常識やと
カニが言うのです

カニが言うのです

来るべき時代とは
横歩きこそ至上の
カニ道楽時代やと
カニ顔したカニが
カニ口でカニ声で
言うておるのです

横こそ縦なんやと
縦に固執しつつも
横に横に広げます
口コミで広げます

時代は変わります
あっという間です
時代は変わっても
世界は変わらずに
銀河も変わらずに
人間も変わらずに
カニも変わらずに
美味しさそのまま
カニは待ってます
あなたのご来店を
カニは待ってます

いやいや違う違う
カニは次代の覇者
ご来店なんて邪道
時代は変わります
時代は変わっても
美味しさそのまま
カニは待ってます
いやいや違う違う

どうしたものかと
カニは考えますが
流れる星を見ると
時代のことなんて
どうでもよくなり
流れる星を真似て
横へ横へと歩いて
砂に軌道を描いて
眠くなってくると
宇宙みたいな海の
端っこで佇みます

時代が端っこから
変わるとは知らず
穏やかなカニ顔で
端っこで佇みます


自由詩 カニと流れ星 Copyright ブルース瀬戸内 2019-04-25 22:22:25
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