それでも行くと言うのなら
カマキリ
海岸の町をぬけていく
錆びた看板に風があたって
クジラの声がする
思いを刻んだカーテンを
めくっては繋ぎ直して
あとに残したギザギザする感情に
また風があたってようやく
琥珀ができていく
網目の道をタクシーで縫っていく
目の端に映る懐かしい全てを
暖かくて絡まりつくような温度が
つかめない大きさにしてしまうから
振り返ることは重罪になったんだ
太陽がおちて
夜の地鳴りが響いた
細くて、長く
触れたら切り刻まれそうな
茶色い髪を
またどこかで見かけた気がする
自由詩
それでも行くと言うのなら
Copyright
カマキリ
2019-04-25 23:02:11
縦