自慰
こたきひろし

もしかしたら
地球の反対側では
自分の全く知らない女と全く知らない男が
唇をかさねてお互いの舌を絡ませているかもしれない夜だ

貴女は私の想像の美女
想像の及ばない現実の部屋で眠ろうとして眠れないままに
目を覚ましている

貴女は私の想像の世界
清純で清楚でいなければならない
筈なのに
時に男の欲求を慰める為に
卑猥な色に肌が透き通る

貴女は私の夜の幻想
男の孤独な性のひばしらになり
男のさびしい心と体に寄り添う

貴女は私の必要不可欠な存在
ああ
必要不可欠な存在
じゃなくて
一時の幻
男が果てるまでの


自由詩 自慰 Copyright こたきひろし 2018-06-26 07:07:23
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