それは詩だけ
日々野いずる

生と死は
哲学者か
年を取った詩人が考えればよくて
若者はただ謳歌するべし
と指導される
この生と死
ここに否定されたのは

あ、ぽかりと浮かんだ
ああ、ぷわりと沈んだ

ただそこにあるものとして
そこにあるものをそのまま
享受して得る愉悦のままに
楽しいまま嬉しいまま
生死を消費していく
そうあるべきなの

短い生の旅路で
費やした時間の分だけ
より輝いていけるものがあるとして
造形に手をかけて嘲笑を受けて

路傍の石のように
そこにあったと
残る
私であったもの
それは詩だけ


自由詩 それは詩だけ Copyright 日々野いずる 2017-06-12 22:50:59
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