予備校時代の友人と
番田 


電車を待っているとき、ホームはなんとなく静かだった。スーツ姿のサラリーマンはいなかったが、おじさんや女性など、何か似たような顔の人も多い。私は人種はそこまで多くはないので、知り合いと見間違える人も多いのではないだろうかと思う。そして、私達が空港から電車に乗って、外を見ている時、なんとなく日本のようだねと彼が言ったのをよく覚えている。

私が昔目覚めた時、そこはロンドンのホテルのベッドの上だった。そして、カーテンの向こうは夜。部屋は明るく、そして、隣で友人が寝ていた。彼はこの秋、結婚する…。しかし、チェックインした時間を思い出すのに時間がかかった。そして私は彼を起こし、外にメシを食べに出かけた。私たちは人気のない、薄暗い夜闇の中にピザハットを見つけた。日本ではデリバリーが主流だが、そこはレストランのようだったので、思い切って中に入った。しかし店内に人はなく、照明もムーディで心を落ち着かせた。ただ、日本と味はかわらないというか、普通の味だったが、なんとドリンクと合わせて日本円にして一人3600円とられたのを覚えている。なんせ、1ポンド250円である。私たちは最後までタクシーには乗らなかったが、運賃を想像するのが怖かった。すでに私は地下鉄の運賃などの高さに面食らっていたからだ。そして、ひと駅の移動に300円とられた。窓の外を見ると、ものすごいスピードでいくつもの黒塗りのタクシーがカーブを曲がっているのが不気味に見えた。

夜闇の中を部屋に戻ると、そして、私たちはもう一度寝た。しかし狭いエコノミーに12時間となると、体にこたえたようだった。ロンドンまではヴァージンで来たが、なかなか素敵なデザインの靴下などが席に用意されていた。しかし、ホテルはそこまで大きくはない作りだったが、なかなか素敵な中世を思わせる大理石の街並みの中にあり、威圧的なカウンターの女性といい、テンションがマックスまで上がった。部屋の内装は鋭角的な作りで、逆に近未来的だった。そうして眠った次の日の朝、私たちは目覚め、また、ホテルの朝食を食べた。私には少ししょっぱくて固く、酒のつまみを思い出させたが、それは、彼の舌にはあったらしく、うまそうに食っていた。私たちは駅前のガラスに白っぽい感じのする喫茶店でコーヒーを飲み、そして、トラファルガー広場まで地下鉄で行ったりした。



散文(批評随筆小説等) 予備校時代の友人と Copyright 番田  2016-07-18 18:57:57
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