ゆらり リエゾン 
るるりら




燃えている

あれは、
もしかするとマグネシウムホイールかもしれないね
二本の轍からオレンジ色の閃光が突っ切ってくる
反照で人々の表情はエジプト壁画のように、平面化したが
唯一ひとりだけ、隣の路線で 私に良く似た少女がベンチから
ゆらり たちあがった
あの娘(こ)は、感じていたところだ
白線の内側は 白線の外側の間違いではないか
世間と自分とのでは どこか線が違う
そして、あのこは レールをはさんで向かい合っている私に向けて手を振っている
私は知っている
あの娘(こ)も私も おなじことを考えている
【私の内側まで おさがりください】

あの娘(こ)は、今
空気を焼きながら現れた電車に、のりこもうとしている
ドアが開き しずかに発車しはじめた
つり革が 同じ方向にゆくりとゆれ
しばらく加速すると すべてのつり革が やがて止まる 
呼吸を整える
(つぎの 駅で、ジャンプだ)
次の駅に到着した
ガタン
セカイは、電車とともに ふたたび動きはじめた
ほらまた ゆっくりと つり革が 同じ方向に傾く

(いまだ! ジャンプ)少女は、その場で 体を、浮かせたとたん

列車は超高速に変った
目をみひらいて 娘は、過ぎ去ろうとしている時空間を通過するままに通過させている
身体が地面につく短い時間に
超高速で 小5から2016年までの記憶が追体験されてゆく
空間が燃え落ちながら進んでいく 
まだ ジャンプしたままだ あの娘(こ)の姿がすさまじい速度で変容する
ふわと地面に足がつくと あの娘(こ)は私だった

わたしは駅にいる
走り出した電車の中に あの子は乗っていた
あの子 は
過去へと走る電車のなかで
白目をむいたまま 
指を三本たてて私に見せて、にやけている

そうだった あの頃
勘の悪い人にであうと
ひそかに私は指を三本たてていた
指でつくった ダブル。
うん これは【 にブイ 】の合図 ⇔ ウィンウィン
だれもしらない 勝者のしるし

にぶく開けてゆく朝日のなか
わたしは、あのこ(娘)を この胸にやどらせたまま 歩く
小学五年生の私がオフィスに はいる
パソコンで連絡をとる
なぜか 業務用語を知っている
なぜか 意地悪上司が美人にみえる
なぜか 窓の外で鳥が鳴いていることに気が付く
セクハラにあう すべてが不思議
 

ただ笑える


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下記フォーラムのスレ演習課題。
http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=316267&from=threadshow.php


>次の5つからイメージした詩を書け!
 ・ベンチ
 ・リエゾン
 ・オレンジ色の路
 ・マグネシウム
 ・エジプト(の水汲みなど)
 【出題は渚鳥さん】







自由詩 ゆらり リエゾン  Copyright るるりら 2016-05-09 14:56:30
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