戻り橋
藤原絵理子


守り子の唄は 灰色の雨に滲む
擦り切れた赤い帯の 風車が回った
竹田じゃ雪に変わって トタン屋根が
静かになる しんしんと寒さだけになる


姉さまは 池に身を投げた
三条のぼんぼんは 河原の柳で首吊った
赤い帯は 水に滲んで沈んだ
芽吹いたばかりの柳は しなやかに揺れた


寺のぼんさん 守り子を追い出して
夕のお勤めをする 檀家さんのためだけに
極楽へ行くのも 地獄へ行くのも お布施しだい


死んだ姉さまは 吉祥から川を上って
橋のたもとで ぼんぼんを待っている
鬼の顔の下に 悲しい恋と涙を隠して


自由詩 戻り橋 Copyright 藤原絵理子 2015-02-04 23:02:07
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