ゆめみるさなぎ
itukamitaniji
ゆめみるさなぎ
こっそり覗いた穴の向こうには 真っ青な空があった
不完全な僕は 実体もないまま殻に閉じ込もって
いつまでも眺めていた もしも願いが叶うのならば
いつかいつの日か その空をはばたく自分をイメージして
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
少しだけ開いた隙間の向こうには 綺麗に澄んだ水があった
未完成な僕は 実体もないまま殻に閉じ込もって
いつまでも眺めていた もしも願いが叶うのならば
いつかいつの日か その水を泳ぐ自分をイメージして
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
きっと世界中の本を探しても どこにも載っていない
見たこともない生き物に 僕はいつか生まれ変わるんだ
それを楽しみと思わないで 何のために生きていくんだい?
悪魔だって天使だって 僕はその時の僕を愛してみたいんだ
どのくらい眠り続けても 繰り返し見る夢は覚めない
僕の体はやがて ドロドロに溶けて液体になった
たった一つの心だけを 必死に守り続けている
いつかいつの日か 新しい自分に姿を変える時まで
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
取り残されて蛹になって 張り付いたまま夢を見る
見たこともない生き物に 僕はいつか生まれ変わるんだ
それを楽しみと思わないで 何のために生きていくんだい?
怪物だってヒーローだって 僕はその時の僕を愛してみたいんだ
望んだ姿に生まれ変われなくても
僕はその時の僕を愛してみたいんだ
自由詩
ゆめみるさなぎ
Copyright
itukamitaniji
2015-01-12 16:20:20