きみのすべてよ応答せよ(リライト)
木屋 亞万

もうひとりの自分をずっとさがしている
真ん中あたりで欠けてしまった
この身体にしっくり来る相手を
心の凹みと出っ張りにピタッとはまる人を
その人には愛をこめて「きみ」と呼びたい

いつの間にか距離ができてしまわない
話さなくても満たされる
いつまでも話が湧き出てくる
相手を知らないことに焦らなくていい
そんな人を愛しい顔で「きみ」と呼びたい

隣を歩いていると体が引き寄せられる
いつまでも眼を見つめていられる
そばにいるだけで体の強張りが抜けて
余計な空気が抜けていく
どこかにいるのだ「きみ」は
これから先もずっと現れないかもしれない
私が鈍いだけでもう出会っているのかもしれない

幻想の「きみ」なのか
白馬の王子を待つような
宿命の女に狂うような
そんな馬鹿げた絵空事なのだろうか


わたしは生まれてからずっときみをさがしている
生まれる前に真ん中のあたりで裂けてしまった
ずっと一緒だったはずのきみを
身体も心も求めてる

きみと一緒になれたら
あたらしい未来が
前へ進んで行く力が
自然と湧いてくるような

きみはどこに
この声は聞こえる?
応答せよ、きみよ
この言葉が届いているなら
きみのすべてとわたしのすべてが
離れていても響きあうなら
きみのすべてよ、応答せよ
わたしのすべてはもう震えているよ
きみへの合図を流しているよ
受信したい、きみのすべてを
応答せよ、きみよ


自由詩 きみのすべてよ応答せよ(リライト) Copyright 木屋 亞万 2014-10-19 08:08:50
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