夜を渡れ
rabbitfighter

見上げれば星は疎らで
物語はみな綻び
我々を慰めも
導きもしない

見渡せばネオンは
星に取って代わろうとする
真っ暗な夜もあったんだ
その時星を探しはしなかったけど

我々の手にはまた別の灯り
月によく似た色の窓
翻訳された遠い国の言葉のように
意味だけが強く浮かび上がる

さまよう事から学び直さなければならない
街灯と街灯の間のコントラストを
ゴム底のスニーカーで密やかに歩く
すれ違う人々に一瞥もくれずに

さまよう事から学び直さなければならない
地図を持たなかった時代の記憶を
手繰り寄せて
我々の足が疲れきるまで

さまよう事から学び直さなければならない
物語を語ることが
星と星の間に横たわる途方も無いような距離を
光よりも早く繋ぐ唯一つの方法だから

夜を渡れ


自由詩 夜を渡れ Copyright rabbitfighter 2014-03-13 03:35:35
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