別れ際に
草野春心



  きみの手を握ったとき
  カモメたちが空の低いところを横切った
  それから 二人で歩き出したとき
  潮風が鼻をつんとついた



  沈んでいく夕日のせいなのか
  きみの髪が 花のように揺れるせいなのか
  ぼくには もう わからないけれど



  きみの手をはなしたとき
  並ぶ木々の影が ぼくにだけ溢れた
  浮かべた笑みを少しずつ 奥の方に押しやりながら
  きみは 静かに とおくなっていった




自由詩 別れ際に Copyright 草野春心 2014-02-11 19:37:09
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春心恋歌