不治の病に逝きつつうつつ
木屋 亞万

点滴を全身に浴び
刺さるたびに針のむしろに治療されます

感謝しましょう
よりよい私になるために針山地獄は苦い良薬

最近のゴッドハンドは
神様のサイコロにさえメスを入れます

まもなく消えます
輪郭の消し飛ぶ光か、まっ暗闇か

鬱屈を吸い出して
体内の毒はもれなく血が溶けた白濁、抜いて

晩白柚を
地雷のように散りばめて柑橘の芳香を嗅ぎます

間もなく死ぬので
最近は見舞いの花をサラダにして食べております


自由詩 不治の病に逝きつつうつつ Copyright 木屋 亞万 2014-01-26 01:34:11
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