熟腐
木屋 亞万

生まれてすぐに聞いた歌が
今まで聴いた最高の曲
あれ以上うまく歌えない
生命の叫びも今では
口を嘘に染めあげて
ひどく空虚に響くのだ

不純物の混ざった星のかけらの
砕いて削る前の青の純度
戻らないものばかり
うつくしく輝いて
吸いたくない塩気の強い湿っぽさ
後悔は失敗の傷を化膿させる

ソバージュをあてる前の
真っ直ぐの髪が好きだった
恋をする前の方が
傷一つなくきれいだったね
大人になればなるほど
醜くなっていくってほんと?


自由詩 熟腐 Copyright 木屋 亞万 2013-07-20 00:59:05
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