惚れている
朝焼彩茜色

髪の長い 古き艶を残した黒髪のお前
その素肌を包み しなやかな 黒髪もくびれる 
男には 備えられない 弾力に水が弾く 潤い 
控えめな 鈴蘭の香り

女という生き物の魔の魅力に跪く 甲にあてる 唇
髪の長い お人形のような瞳に 小さな肩のお前
俺は 高嶺に登る自信を崩されるほど
お前に 惚れていた

何も考えずに鈴蘭の音を その魂を溶いた黒髪に宿る生き物を
抱きたい
何も考えずにお前の心ここにあらずとも お前を
抱きたい

お前しか見えない瞳に
お前しか見ない生き様に 溺れようと救われなかろうと 死んでしまおうと
お前だけ見ていたい 他に触れる指先などいらない
ただ お前が振舞う 臍まで届く黒髪が 生き様そのものを 覆すのだ

 俺の足らない生き様の 壊れた欠片の先でとどまる涙を
 お前は
 
 お前の只の黒髪に香る  
 神々しい宿しきものと
 俺の蒸発の終わりの涙とが

 出会ったんだ 振り向いた時の あの鈴蘭の香りの撒きは永遠に刹那を押す


 お前に俺はもったいないくらい 惚れている 恋は死に 
 愛にでさえ 太刀打ち出来そうもないくらい 
 宿命に浸したい そう根我憂(ねがう)

 お前を手に入れたら 宿命に浸せたら
 きっとお前を目覚めさせられる 



自由詩 惚れている Copyright 朝焼彩茜色 2013-07-08 22:02:03
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