薄闇の入り口
田島オスカー


もっとずっと確かなこと
だったのだと思う

何も知らなかった
わたし



日が沈んでゆく
窓から見えるのは 山
相変わらずの景色は
三年間ずっと変わらない
授業で「第三セクター」の例としてよくでる
田舎電車は 少し揺れる
本当はまったく揺れていないのかもしれない
わたしの浅はかさも 前とは少しも変わっていなかった


だんだんと寒くなってきて
歩く道がなんだか長く伸びてゆくような

椿が咲いている
白に桃 じわり
立ち止まって毎日 見てしまう
昨日ついに ぽとり
あの声を聞いた後だったので
かなしくて 道端で泣いた



何も変わらない
何も変わらない
いつか変わるかもしれない
わからないのね それでもいいよ
薄闇に椿 それくらいの



自由詩 薄闇の入り口 Copyright 田島オスカー 2004-12-24 21:58:09
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