見るに堪えない
もう限界なのです
あたくし


晴れやかな笑顔の他人を
少しも憎いとおもわずに生きていくことの
むつかしさ

本音を少しだけこぼして
申し訳なさそうにすがっ ....
あなたが忘れようとしなかったものを
僕がきちんと背負っているかは不安だけれども
それでも何か大きく
のしかかっている
そういうのに 愚か者は 憧れるものなんだよ


もう誰かの隣にな ....
言葉の中にいろいろと隠すのが得意だった僕を
何かとおそれていたあの人の まなざし
少しだけでもいいから、といって
色の付いた答えばかりを求めていたので
僕はおそらく 耐えることを忘れよ ....
噛み千切ってしまおうかしら。
痛いだろう、そんなことをしては。
そんな会話ばかりが
あたしを幸せにしていた

おまえの髪に指を通すと、人のぬくもりがあらわになるね。
冷たい指先があたし ....
肺を
丁寧に手のひらにのせて見せたら
真っ黒だね、といってあなたは笑って
そういう汚さを
きっと誰もが持っている
そういう顔をしてくれた

泣きつつある
そういうのはいつもあなたが ....
ひとつだけ思いがぶり返す
すべては 沈みたいがために
あの人はいつも 優しくている
それが痛々しいとは 知りたくないようだ

置いたままにしたスミノフの瓶が
ひとりでに倒れるのを 
 ....
大好きな夢を最近見なくなってしまって
哀しくなっているところに
隣の部屋から汚いビブラートが響いてきた
あたしは焼酎に負けて泣いている

どうしてもあの夢が見たくて
毛布の中で拝む ....
夜の冷えにおそわれるのは私だけだと そう思っていたかったの
だからこそ私は 爪さえ切らずにいたのに


犬が私を笑っている 
座り込んだのは星が見えないせいなのに

いつもうまくいか ....
コーヒーとミルクが半々
その懐かしさが痛ましいので
最近では蜂蜜を溶かし込んでしまう

あの人が元気でいることを望まない私と
いつもレモンを添え忘れるあの人と
似ていたのは身勝手ばかり ....
その包むような声を聞いて泣いてしまうのは
弱っているからだと気付いて


爪を一枚だけはがして
あなたの前に差し出して
そして 泣けば
その白い指が僕を
殺してくれると思っていて
 ....
犬の尾の振れ幅が 小さく小さくなってゆく
そういう空気が あなたにはありました 
あの時

冷たいつもりの温もり、と 私は呼んでいて
そういう ささやかな反抗は
それでも水面下にいつも ....
まず すべて投げ捨てましょう、と君が言ったので
未だ僕は 自分が何も持っていない気がしてなりません


よく晴れた日には 何も無かったことにできるかもしれないと
少しだけ自信と 希望をもちま ....
もっとずっと確かなこと
だったのだと思う

何も知らなかった
わたし



日が沈んでゆく
窓から見えるのは 山
相変わらずの景色は
三年間ずっと変わらない
授業で「第三セ ....
手を添えて泣くことを覚えたのは
三つ前の冬です
どこへも行かぬように
願いながら 泣きました


秋風
たわむれる女子高生と女子高生が
悪ぶって眉間に皺を寄せている
その光景が嫌 ....
ここから
見える歩行者信号は
いつも赤で 退けられた気になる

八月の真ん中 夏が終わってしまう
誰のものでもないのに ひとりでに終わって
そしていつも退けられて
秋にも届かず  ....
あいつの中指にはまっていた銀メッキの安い指輪を
ある日黙ってぽいと捨てた
ら、怒られたのでここにいる
だってあれはあの人からの贈り物だった

窓辺から聞こえていたのは近くにある中 ....
まとわりつく風に 色をのせる夢を見た


あの日 あまりに駆け回って
おかげで ぼくらはたくさん転んで
傷だらけになって 笑っていたけど
傷の消えた今 なぜか
あの日の笑顔に泣かされ ....
溢れてしまいそう

溢れさせておけばよかった

もう周りには花は咲いていなくて
指に触れる砂 ざらりとした 痛みの粒の


溢れてしまいそう
溢れて 咲いてしまえばよかった

 ....
咽喉の奥に秘めていた 粘質な泪に負けました

しつこく あまりにしつこく私の傍に居るので

ついに私 嗚咽とともに消えてしまいました


指先にはったばんそうこう 肌色が目を刺します
 ....
そっと絡めた指が
恐ろしく美しかったのを
僕はまだ 瞳の奥に覚えている

隠し切れなかった愛おしさを
君の 綺麗な指からも感じていた

掴んで 離さなかったのは
その手がどこか
知ら ....
そういえば
あの時のささやかな想いを
いまだ遂げられない僕でも 君は 
素敵よ と言ったね

パラソルは今日も色褪せている
一番褪せて見えるのは
あの時も今も黄色で
太陽は 似た色 ....
黒いノートの背表紙に黒い字で黒と書く

無意味


まるで全てを手に入れたような顔をするのね、
と君は言って ひどく辛そうに笑った

一つだけ欲しいものを言ってみなさいよ、
あんたの ....
虚像の滲みが 君を遠ざけてゆくので
僕のほうこそ滲んでしまって
実はもう消えてしまいそうだ

のばした手が 精一杯で
君はもちろん虚像だから
つまり 精一杯も届かない

ああ真 ....
今日も裏のアパートで
クイーンを大音量で鳴らす女が
ベランダに出て 男とキスをしている
僕が見たのはこれで五度目
弟は三度見ている
文部科学省にクレームをつけてやるのだ、と母親は言う
 ....
いつもそうでした
いつもいつもそうだったのでした
悲しいことだと思うでしょう でも確かだった
僕は いつもいつも 忘れられずにいたのです
しかしきっと 今でも

ガラス細工越しの 西日 ....
朝の気だるさに風が吹いた
驚いたことに 涙は 出ない
哀しいはずだった 私はいつの日も 常に
夜のかなしみは 朝には 薄くなっていく
主人公には なれずにいた

母がふ、と呟きそう ....
ほほの 火照りになんだか 欺かれた気がしました
指先はやけに冷たく 自分に触れて 確かめるのも嫌で
人間 というものが最近 やけに面倒臭くって
もうずっと 一人でも良いのかも知れないと 一寸 思 ....
嗤うがいい、と近所の鬼婆が誰かに叫びあげ
それを聞き終えてから窓を閉めて白シャツを着て家を出た

ほぼ毎日あたたかくなってゆき
爪の伸びも早くなった気がして寂しい

楽しさも減ったよ、まる ....
指先を
もてあそぶのが好きか
聞けば そんな事は無いわ、と
君はいつも苦く笑いながら 応えましたね


最近ね、よく、虫になった夢を見るの、
虫よ、羽の生えた、音を鳴らして飛ぶ、虫。 ....
その刹那
滲んだ夜景の濡れかたが
酷く美しかったので
そのガラス越しに 
くちづけてみました

落ちて逝く様を
見られたくなかった
と言うのが事実でありますし
本当はどうでも ....
田島オスカー(62)
タイトル カテゴリ Point 日付
隣の芝自由詩306/4/30 2:26
nochmals自由詩006/4/27 2:43
足跡のひどく冷えた午後自由詩106/4/23 1:56
歯を立てて、悲鳴を。自由詩306/3/23 1:38
ひらひらの夢自由詩306/2/21 0:53
朝夕のあんず色自由詩106/1/29 0:57
振り子の爪あと自由詩206/1/24 3:31
白百合の犬自由詩005/12/27 1:48
カフェ自由詩205/11/25 1:30
被食欲自由詩305/11/15 1:48
竦む。自由詩3*05/11/13 4:03
陥穽自由詩005/3/19 17:15
薄闇の入り口自由詩204/12/24 21:58
跋扈する月夜自由詩204/11/27 14:08
そして今見えるスタート自由詩004/9/12 22:49
鮮やかさに、ヤラレタ。自由詩104/8/20 22:31
少年期の氷結自由詩5*04/8/16 17:53
飽和自由詩3*04/7/17 14:26
疑念と嫉妬と、消えてしまいました自由詩004/7/9 22:33
エンプティ自由詩104/6/30 1:33
砂の上のメッセージ自由詩104/6/22 22:04
すれ違う黒いノート自由詩1*04/5/13 20:18
虚像自由詩104/5/10 3:14
ロンリーシンディとクイーン自由詩204/5/6 20:34
グランマ自由詩004/5/2 21:01
アットホーム症候群自由詩104/4/29 22:35
無題、未詩・独白104/4/17 19:12
無題未詩・独白004/4/15 22:12
指先と羽音自由詩4*04/4/14 2:01
最後の夜タクシーから見えたものは自由詩504/4/12 18:59

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