跋扈する月夜
田島オスカー
手を添えて泣くことを覚えたのは
三つ前の冬です
どこへも行かぬように
願いながら 泣きました
秋風
たわむれる女子高生と女子高生が
悪ぶって眉間に皺を寄せている
その光景が嫌いで
いつも私 駅前を歩くときは歩幅を大きくしてしまう
転がる葉の数がほんの少しの間で増えてしまったことに
私 いつものように
いつものように
何ともわからずに呟いてしまう
人はね、生きようと思わなければ死んでしまうよ。
響く
落ち葉と爪の間に 声が
だから哀しくて
長雨が続くとほっとする
月の綺麗なその日の夜に
カーテンをすべて閉めきるのは
きちんと眠ってしまいたいからです
君の事を
忘れるためにそんな哀しいことはしないよ
もう三つも前の冬のことですから
自由詩
跋扈する月夜
Copyright
田島オスカー
2004-11-27 14:08:10