そして今見えるスタート
田島オスカー
ここから
見える歩行者信号は
いつも赤で 退けられた気になる
八月の真ん中 夏が終わってしまう
誰のものでもないのに ひとりでに終わって
そしていつも退けられて
秋にも届かず 手だけ彷徨わす わたし
相変わらず信号は 赤いままだ
子どもが駆け出していった
手前に大型トラック 青に変わったはずの信号は見えない
いつもこれ 大事なときにわたしはまた
少しも動かない雲に見惚れて
ふと見るとまた 赤
拒絶の赤 に 見えた
届かないわたしと 退ける赤
届かなければ走りだせばいい
まだ気付かないでいたわたしと
本当は赤くない 赤
一人で夏を終わらせるわたしと
いつの間にか変わった 青信号
手を上げて走るはずの わたし
自由詩
そして今見えるスタート
Copyright
田島オスカー
2004-09-12 22:49:02